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宮坂 宥洪( みやさか ゆうこう)
照光寺住職
成田山蓮華不動院住職
智山伝法院院長

月々の言葉と連載法話
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これまでの法話を毎月一話ずつ紹介していきます。また、毎月境内に貼られる月々の言葉を掲載 していきます。

お寺を訪れる人は、住職の「月々の言葉」に励まされています。ご覧になった方の、心の支えになれば幸いです。

今月の言葉

【母性がいかに大切か】vol.18

昭和50年に総理府より告示された「犬及びねこの飼育及び保管に関する基準」に、「犬又はねこの所有者は、特別の場合を除き、離乳前の子犬又は子ねこを譲渡しないように努めること」という条項がありました。
この告示は平成14年に環境省告示の「家庭動物等の飼育及び保管に関する基準」に替わりましたが、同じ内容の条項は残されています。
なぜ、「離乳前の子犬又は子ねこを譲渡しないように努め」なければならないのでしょう。 まともに育たないからです。もともに育たないとどうなるかというと、まともな親になれないのです。

鳥の卵が何かの拍子に樹の巣から落ちて、幸か不幸か人間に拾われて育てられた場合、その鳥が生育して卵を産んでも、雛を守るという本能が発揮できないのだそうです。つまり、親鳥の愛情を知らない小鳥は、親鳥にはなれないということなのです。
鳥でもそうです。犬や猫に対してさえ、飼い主に国家が告示して、離乳期の子犬や子猫を親から引き離してはならないと言っているのです。
まして人間の場合はどうか、ですが、それがなんと平成10年度の厚生白書は、「3歳児神話には、少なくても合理的な根拠は認められない」と託宣し、これで日本女性の母性放棄に歯止めがかからなくなってしまいました。

3歳児神話とは、「子どもは3歳までは、常時家庭において母親の手で育てないと、子どものその後の成長に悪影響を及ぼす」というもの。これは「神話」にすぎず「迷信」だと、一部のメディアや団体が盛んに喧伝してきました。では、子どもを誰が育てるのかというと、「子どもは社会が育てる」という。これを先般、あろうことか政権政党の自民党が率先してマニフェストに掲げ、野党各党もほぼ同調している有様です。
ところが先年、「キレ」る子どもの心の問題の研究をすすめていた文部科学省の検討会は、情緒が安定した子どもを育てるには、「3歳までの母親を始めとした家族の愛情が大切」とする報告書をまとめ、3歳児神話を否定した厚生白書をきっぱりと覆す見解を示しました。

赤ん坊は自分を無条件に誰が保護してくれるかを3歳までに学び、その中で愛情の本質を知るのです。母の愛を知り得なかった子は、自分に対する人を敵としか認識できなくなるそうです。犯罪の温床を育てているとしか言いようのない愚策は即刻改められねばなりません。

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