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宮坂 宥洪( みやさか ゆうこう)
照光寺住職
成田山蓮華不動院住職
智山伝法院院長

月々の言葉と連載法話
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これまでの法話を毎月一話ずつ紹介していきます。また、毎月境内に貼られる月々の言葉を掲載 していきます。

お寺を訪れる人は、住職の「月々の言葉」に励まされています。ご覧になった方の、心の支えになれば幸いです。

今月の言葉

【起源の話③】vol.55

たった一種類の人類

旧人類と呼ばれるネアンデルタール人は、およそ20万年前にヨーロッパで出現し、7万年前にはヨーロッパ全土と西アジアに拡散し、3万年前に忽然と姿を消しました。

彼らは直立二足歩行をし、火を用い、精巧な石器を使い、狩猟も行なっていました。死者に花をそえて供養していたらしいことも分かっています。

現代人より脳の容積が大きく、相当高度な文明を築いていた可能性さえあります。彼らはまぎれもなく人類でした。

彼らが地球上に生存した十数万年ほどの間に変化を遂げたことは、出土した多くの化石から明らかです。だが、突出した額や大きな鼻などのネアンデルタール人の特徴は、実は新しい化石ほど顕著になっていくのです。

つまり、時代がたつにつれて現代人の風貌と掛け離れていくのです。

遺骨から得られたDNAの解析からも、現人類とのつながりは見出すことができませんでした。彼らは現代人の祖先ではなかったのです。

ネアンデルタール人は、地上に出現した最初からネアンデルタール人であり、最後までネアンデルタール人として進化し、そして地上から姿を消しました。ネアンデルタール人は絶滅した人類だったのです。

現代人は肌の色の違いなどはあるにしても、ただ一種類の人類です。

ところが、数万年以上前には、ネアンデルタール人を含めて、数種類の人類が共存していた可能性があります。

これには意外な感じがしますが、十分考えられることです。むしろ驚くべきは、数限りない生物種の中で、人類のみが地球上で一種類しか現存していないということです。

人類に最も近い猿でさえ、ゴリラ、チンパンジー、ニホンザルなど実に多様な種類があります。

海中には多種の魚や貝がいます。地上には多種多様の動物がいます。鳥や昆虫がいます。

それら無数の生物種に比して、たった一種類というのは、おそらく人類だけです。その人類も数万年以上前は、何種類かいた形跡があります。

いても何の不思議もないことだと思われます。

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